- 出版社/メーカー: Happinet(SB)(D)
- 発売日: 2011/09/02
- メディア: DVD
- 購入: 1人 クリック: 51回
- この商品を含むブログ (12件) を見る
予想外にとても良い作品だった。
舞台は十八世紀末のイギリス。
主人公のウィルバーフォースは実在の人物。
ウィルバーフォースは、さまざまな経緯から奴隷貿易廃止を目指し、取り組むようになる。
若きウィルバーフォースは雄弁を駆使して奴隷制の非人道性を国会で告発し、奴隷貿易廃止法案を議会で通すことを目指す。
しかし、現実の壁は厚く、法案は否決を繰り返す。
ウィルバーフォース自身も、病気に苦しみ、無力感や焦りに打ちのめされる。
「アメイジング・グレイス」を作曲した元奴隷船の船長で牧師のジョン・ニュートンや、アフリカの王子の出身でありながら誘拐されて奴隷となりその後に解放されて英語で書籍を書き奴隷廃止を訴えたエクィアーノ、熱烈な奴隷制廃止論者の進歩主義者・クラークソン、親友で首相のピット、そして妻ら。
これらの人々に支えられ、ウィルバーフォースは挫折を乗り越えて、長い間、闘い続け、ついに、十五年以上の時をかけて、1807年、イギリスの議会において奴隷貿易廃止法が可決された。
この映画は、その様子をとてもよく描いてあって、とても心打たれるものがあった。
アメリカにおいてリンカーンらの手によって奴隷制が廃止になるのは、なおその半世紀の後だったことを考えると、いかにウィルバーフォースらの奮闘がすごいものだったかよくわかる。
恥ずかしながら、あまりウィルバーフォースのことは今まで知らず、その頃にイギリスが奴隷貿易廃止の法律をつくったぐらいしか知らなかったので、これほどの当事者たちの熱意と苦労があったことを、この映画のおかげで知らされた。
ウィルバーフォースとピットのお墓がウエストミンスター寺院にあると最後のテロップで流れた。
昔ウエストミンスター寺院は訪れたけれど、当時は全く二人の墓を知らず気付かなかったので、またいつか行ってお墓参りをしたいものだと思う。
何か一つの法案や政策を実現するには、それがどんなに正しいものであったとしても、長い時と試練と苦闘を要する場合がある。
ウィルバーフォースの思いを考えれば、今の日本においても、地道にいろんな法案や政策に一歩一歩努力するしかないのだろう。
また、信念と勇気さえあれば、時をかければそれらの正義が実現することを、こうした歴史の事例は教えてくれるのだと思う。
多くの人に見て欲しい、名作だった。
なお、作中に登場するエクィアーノ(イクイアーノ)の自伝は、今ではネット上で英語ならば無料で読めるし、邦訳も出版されている。
いつか読んでみたいと思う。
原文
http://www.gutenberg.org/files/15399/15399-h/15399-h.htm
ウィリアム・ウィルバーフォース Wikipedia
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%A6%E3%82%A3%E3%83%AA%E3%82%A2%E3%83%A0%E3%83%BB%E3%82%A6%E3%82%A3%E3%83%AB%E3%83%90%E3%83%BC%E3%83%95%E3%82%A9%E3%83%BC%E3%82%B9