絵本 「いのち」


学校でいじめられて自殺未遂を図った女の子が、祖父の自画像を見に「無言館」に行き、祖父の分も生きなきゃと思って立ち直る。

実話がもとになっているそうである。

無言館は、もちろん、戦没画学生の絵を集めた美術館で、その子の祖父も二十代で戦死した。

多くの人が、絵を描きたい、もっと生きたいと思い、一刻一刻のいのちを刻み付けるように絵を描き、そして戦地に赴いていった。

いま、後世の私たちが、自由に、平和に、絵を見たり描いたり、本を読んだり、家族や友人と過ごすことは、本当はとてもかけがえのない大切なことだし、若くして亡くなっていかなくてはならなかった方たちの分まで、本当は今生きている私たちは生きなければならないということを、あらためて教えてくれる絵本だった。