増支部経典 第十集 第十一集 抜粋メモ

支部経典 第十集 抜粋メモ


支部経典 第十集 六十一 無明


一、諸比丘よ、無明の本際は、「これより前に無明のなかりき、その後に無明生じたり」として知るべからず。諸比丘よ、かくの如く説くなり。しかれども「これに縁りて無明あり」とは知るべし。諸比丘よ、また我無明に食あり、食なきにあらずと説く。何をか無明の食と為すや。五蓋なりと説くべし。諸比丘よ、また我、五蓋に食あり、食なきにあらずと説く。何をか五蓋の食と為すや。三悪行なりと説くべし。諸比丘よ、また我、三悪行に食あり、食なきにあらずと説く。何をか三悪行の食と為すや。根を護らざることなりと説くべし。諸比丘よ、また我、根を護らざることに食あり、食なきにあらずと説く。何をか根を護らざることの食と為すや。不正念不正知なりと説くべし。諸比丘よ、また我、不正念不正知に食あり、食なきにあらずと説く。何をか不正念不正知の食と為すや。非如理作意なりと説くべし。諸比丘よ、また我、非如理作意に食あり、食なきにあらずと説く。何をか非如理作意の食と為すや。不信なりと説くべし。諸比丘よ、また我、不信に食あり、食なきにあらずと説く。何をか不信の食と為すや。悪法の聴聞なりと説くべし。諸比丘よ、また我、悪法の聴聞に食あり、食なきにあらずと説く。何をか悪法の聴聞の食と為すや。悪知識に親近することなりと説くべし。


二、諸比丘よ、かくの如く、悪知識に親近することを具せば悪法の聴聞を具し、悪法の聴聞を具せば不信を具し、不信を具せば非如理作意を具し、非如理作意を具せば不正念不正知を具し、不正念不正知を具せば根を護らざることを具し、根を護らざることを具せば三悪行を具し、三悪行を具せば五蓋を具し、五蓋を具せば無明を具す。
かくの如くこの無明に食ありて(無明を)具す。


三、諸比丘よ、譬えば山上に大いに雨ふり雷鳴るとき、水低きに就き展転して山巌渓澗に満つ、山巌渓澗に満ちて小池に満つ、小池に満ちて大池に満つ、大池に満ちて小河に満つ、小河に満ちて大河に満つ、大河に満ちて大海に満つ。かくの如くこの大海に食ありて(大海を)満たす。
諸比丘よ、かくの如く、悪知識に親近することを具せば悪法の聴聞を具し、悪法の聴聞を具せば不信を具し、不信を具せば非如理作意を具し、非如理作意を具せば不正念不正知を具し、不正念不正知を具せば根を護らざることを具し、根を護らざることを具せば三悪行を具し、三悪行を具せば五蓋を具し、五蓋を具せば無明を具す。かくの如くこの無明に食ありて(無明を)具す。


四、諸比丘よ、また我、明解脱に食あり、食なきにあらずと説く。何をか明解脱の食と為すや。七覚支なりと説くべし。諸比丘よ、また我、七覚支に食あり、食なきにあらずと説く。何をか七覚支の食と為すや。七覚支なりと説くべし。諸比丘よ、また我、明解脱に食あり、食なきにあらずと説く。何をか四念処の食と為すや。三善行なりと説くべし。諸比丘よ、また我、三善行に食あり、食なきにあらずと説く。何をか三善行の食と為すや。根を護ることなりと説くべし。諸比丘よ、また我、根を護ることに食あり、食なきにあらずと説く。何をか根を護ることの食と為すや。正念正知なりと説くべし。諸比丘よ、また我、正念正知に食あり、食なきにあらずと説く。何をか正念正知の食と為すや。如理作意なりと説くべし。諸比丘よ、また我、如理作意に食あり、食なきにあらずと説く。何をか如理作意の食と為すや。信なりと説くべし。諸比丘よ、また我、信に食あり、食なきにあらずと説く。何をか信の食と為すや。正法の聴聞なりと説くべし。諸比丘よ、また我、正法の聴聞なりに食あり、食なきにあらずと説く。何をか正法の聴聞なりの食と為すや。善知識に親近することなりと説くべし。


五、諸比丘よ、かくの如く、善知識に親近することを具せば正法の聴聞を具し、正法の聴聞を具せば信を具し、信を具せば如理作意を具し、如理作意を具せば正念正知を具し、正念正知を具せば根を護ることを具し、根を護ることを具せば三善行を具し、三善行を具せば四念処を具し、四念処を具せば七覚支を具し、七覚支を具せば明解脱を具す。
かくのごとくこの明解脱に食ありて(明解脱を)具す。


六、諸比丘よ、譬えば山上に大いに雨ふり雷鳴るとき、水低きに就き展転して山巌渓澗に満つ、山巌渓澗に満ちて小池に満つ、小池に満ちて大池に満つ、大池に満ちて小河に満つ、小河に満ちて大河に満つ、大河に満ちて大海に満つ。かくの如くこの大海に食ありて(大海を)満たす。
諸比丘よ、かくの如く、善知識に親近することを具せば正法の聴聞を具し、正法の聴聞を具せば信を具し、信を具せば如理作意を具し、如理作意を具せば正念正知を具し、正念正知を具せば根を護ることを具し、根を護ることを具せば三善行を具し、三善行を具せば四念処を具し、四念処を具せば七覚支を具し、七覚支を具せば明解脱を具す。
かくのごとくこの明解脱に食ありて(明解脱を)具す。


支部経典 第十集 七十三 可愛


一、諸比丘よ、十法あり、可愛・可楽・可意にして世にも得難し。何をか十と為すや。
二、財は可愛・可楽・可意にして世にも得難し。美貌は可愛・可楽・可意にして世にも得難し。無病は可愛・可楽・可意にして世にも得難し。戒は可愛・可楽・可意にして世にも得難し。梵行は可愛・可楽・可意にして世にも得難し。友は可愛・可楽・可意にして世にも得難し。多智は可愛・可楽・可意にして世にも得難し。慧は可愛・可楽・可意にして世にも得難し。法は可愛・可楽・可意にして世にも得難し。天は可愛・可楽・可意にして世にも得難し。
諸比丘よ、この十法は可愛・可楽・可意にして世にも得難し。
三、諸比丘よ、この可愛・可楽・可意にして世にも得難き十法に十法の障難あり。
四、懈怠・不勤は財の障難なり。不荘厳・不荘飾は美貌の障難なり。不摂生は無病の障難なり。悪友あるは戒の障難なり。根を護らざるは梵行の障難なり。不信は友の障難なり。学習せざるは多智の障難なり。恭敬聴聞せず質問せざるはの慧の障難なり。勤めず観察せざるは法の障難なり。邪行は天の障難なり。
諸比丘よ、この可愛・可楽・可意にして世にも得難き十法にこの十法の障難あり。
五、諸比丘よ、この可愛・可楽・可意にして世にも得難き十法に十法の食あり。
六、不懈怠・勤勇は財の食なり。荘厳・荘飾は美貌の食なり。摂生は無病の食なり。善友あるは戒の食なり。根を護るは梵行の食なり。信義は友の食なり。学習は多知の食なり。恭敬聴聞・質問は慧の食なり。勤勉・観察は法の食なり。正行は天の食なり。
諸比丘よ、この可愛・可楽・可意にして世にも得難き十法にこの十法の食あり。



支部経典 第十集 二百十三  四十法


一、諸比丘よ、四十法を成就せる者はその齎せる所に随って地獄に遣らる。何をか四十と為すや。
二、自ら殺生し、他に勧めて殺生せしめ、殺生を認許し、殺生を讃歎す。自ら不与取し、他に勧めて不与取せしめ、不与取を認許し、不与取を讃歎す。自ら欲邪行し、他に勧めて欲邪行せしめ、欲邪行を認許し、欲邪行を讃歎す。自ら虚誑語し、他に勧めて虚誑語せしめ、虚誑語を認許し、虚誑語を讃歎す。自ら離間語し、他に勧めて離間語せしめ、離間語を認許し、離間語を讃歎す。自ら麁悪語し、他に勧めて麁悪語せしめ、麁悪語を認許し、麁悪語を讃歎す。自ら雑穢語し、他に勧めて雑穢語せしめ、雑穢語を認許し、雑穢語を讃歎す。自ら貪欲あり、他に勧めて貪欲あらしめ、貪欲を認許し、貪欲を讃歎す。自ら瞋心あり、他に勧めて瞋恚あらしめ、瞋恚を認許し、瞋恚を讃歎す。自ら邪見あり、他に勧めて邪見あらしめ、邪見を認許し、邪見を讃歎す。
諸比丘よ、この四十法を成就せる者はその齎せる所に随って地獄に遣らる。
三、諸比丘よ、四十法を成就せる者はその齎せる所に随って天界に遣らる。何をか四十と為すや。
四、自ら殺生を離し、他に勧めて殺生を離せしめ、殺生の離を認許し、殺生の離を讃歎す。自ら不与取を離し、他に勧めて不与取を離せしめ、不与取の離を認許し、不与取の離を讃歎す。自ら欲邪行を離し、他に勧めて欲邪行を離せしめ、欲邪行の離を認許し、欲邪行の離を讃歎す。自ら虚誑語を離し、他に勧めて虚誑語を離せしめ、虚誑語の離を認許し、虚誑語の離を讃歎す。自ら離間語を離し、他に勧めて離間語を離せしめ、離間語の離を認許し、離間語の離を讃歎す。自ら麁悪語を離し、他に勧めて麁悪語を離せしめ、麁悪語の離を認許し、麁悪語の離を讃歎す。自ら雑穢語を離し、他に勧めて雑穢語を離せしめ、雑穢語の離を認許し、雑穢語の離を讃歎す。自ら貪欲なく、他に勧めて貪欲なからしめ、無貪を認許し、無貪を讃歎す。自ら瞋心なく、他に勧めて瞋恚なからしめ、無瞋を認許し、無瞋を讃歎す。自ら正見あり、他に勧めて正見あらしめ、正見を認許し、正見を讃歎す。
諸比丘よ、この四十法を成就せる者はその齎せる所に随って天界に遣らる。



支部経典 第十一集 十六 慈


一、諸比丘よ、慈心解脱を習し修習し多修し乗と作し地と作し随成し積習し善く造作せば十一種の功徳ありと期すべし。何をか十一と為すや。
二、楽に眠り、楽に覚し、悪夢を見ず、人に愛楽せられ、非人に愛楽せられ、諸天の守護する所となり、火・毒・剣を受けず、速疾に心定に入る、顔色明亮となる、蒙昧ならずして命終す、もし上位を通達せずば梵世に趣く。
諸比丘よ、慈心解脱を習し修習し多修し乗と作し地と作し随成し積習し善く造作せばこの十一種の功徳ありと期すべし。