増支部経典 第四集 七十  王と自然

支部経典 第四集 七十


一、比丘衆よ、何時にても王が非法なるときは王の代官もまた非法なり、王の代官の非法なる時は婆羅門、在家また非法なり、婆羅門、在家非法なる時は城市村落の人もまた非法なり、城市村落の人非法なる時は日月の運転度を失う、日月の運転度を失う時は星宿の運行時を錯ある、星宿の運行時を錯あるときは昼夜の回転正しからず、昼夜の回転正しからざるときは月半月の転替正しからず、月半月の転替正しからざるときは年季の循環正しからず、年季の循環正しからざるときは風非時に吹き、不平等に、方向を乱る、風非時に吹き、不平等に、方向を乱るときは神祇怒る、神祇怒るときは天は正しく雨を降らさず、天は正しく雨を降らさざるときは穀子成熟せず、比丘衆よ、成熟せざる穀子を食う人々は寿短く、色悪く、力弱く、また多く病む。

二、比丘衆よ、何時にても王が如法なるときは王の代官も如法なり、王の代官如法なる時は婆羅門、在家も如法なり、婆羅門、在家如法なる時は城市村落の人も如法なり、城市村落の人如法なる時は日月の運転度あり、日月の運転度あるときは星宿の運行時を錯らず、星宿の運行時を錯らざるときは昼夜の回転正し、昼夜の回転正しきときは月半月の転替正し、月半月の転替正しきときは年季の循環正し、年季の循環正しきときは風時を以て吹き、平等に、方向正し、風時を以て吹き、平等に、方向正しきときは神祇怒らず、神祇怒らざるときは天は正しく雨を降らす、天は正しく雨を降らすときは穀子成熟す、比丘衆よ、成熟せる穀子を食う人々は寿長く、美しく、力強く、また病無し、と。

三、河水を渡る牛群の      首(かしら)が曲がり行くならば
すべての牛群曲がり行く     導首が曲がり行くゆえに、
かく人間の中にても       第一恭敬せられたる
人が非法を行わば        余(ほか)の人々猶更ぞ
王もし非法なるならば      一切国土苦に沈む。
河水を渡る牛群の        首が直(すぐ)に行くならば
すべての牛群直に行く      導首が直に行くゆえに、
かく人間の中にても       第一恭敬せられたる
人が正しく行わば        余の人々は猶更ぞ
王もし正しくあるならば      一切国土を受く、と。