「一次大戦に寄せて」
去っていった兵士たち。
屍、屍、また屍。
塹壕に冷たい雨は降りそそぎ、
死者はもはや何も語る術がない。
祖国のために命を賭けて、
機関銃の掃射に果敢に立ち向かい、
毒ガスの霧の中を、
彼らは進み、そして斃れた。
人はなんと脆く、儚いものか。
銃弾ではなく、言葉で話しあえていたならば。
暴力ではなく、心を通じ合わせることにもっと努力できていたならば。
庶民の間が、もっとわかりあえていたならば。
この何万、何十万、何百万という屍は、
まだ生きて、家に帰ることができたかもしれなかったのに。
塹壕の跡はいまは埋まり、
百年の月日のうちに、記憶すら風化していった。
赤い罌粟の花のみが、変わらずに墓地には咲き続け、
時折思い出す人がいなければ、
彼らの苦しみや悲しみは一体何だったというのだろうか?