スマナサーラ長老 「平和の生滅」

平和の生滅―生存の矛盾を超えて (お釈迦さまが教えたこと)

平和の生滅―生存の矛盾を超えて (お釈迦さまが教えたこと)

・ 人間はとかくバリアをつくりたがる。
・ しかし、本当の平和は、バリアをつくらないことによってしか達成できない。バリアを持たないことが大切である。

・ 知識は、人間の幸福に役立つ、心を清める、心の平安に役立つ、といった目標を設定することが肝心である。無目的に求めるべきではない。無目的に知識を増やしても、争いを増すだけ。

・ 「私の思考は正しい」という発想が争いを激化する。「私の思考は正しい」という発想はひとまずおいて、客観的なデータのみを提示しあって、ともに真理をめざす対話を行うのが、釈尊の勧めた道。

・ 「生命を殺すことをやめる」(不殺生)こそが、正しい本当の目的であり、善。そして、施無威(安全を与えること)も、文句なしの最も正しい行為であり、心がけるべき善。

・ 自分の主観に固執しない。相手の存在をきちんと認める。
・ 正義よりも、まずは事実・知識の検討を優先する。

・ 知識を、進歩・有益・心の浄化に役立つかどうか・智慧の開発に役立つかどうか・最終的に心の平安をもたらすかどうか、といったことからチェックする。

・ 自分が貪・瞋・痴から離れ、自分の心を調整することこそが、平和への最大の貢献であり道のり。

などなど、なるほど〜っと思うメッセージがいっぱい詰まった本だった。

特に、「主観の壁を破る」こと、とりあえず正義はわきに置いて、客観的なデータをのみ検討するという姿勢は、本当に大切と思う。

人はどうして、自説の正しさに固執して、客観的なデータの検証をおろそかにしがちなのだろう。
それが、人間の悲しい性であり、凡夫の様というものであろうか。

主観の壁を破り、主観よりも客観、正しさよりも客観的なデータや証拠を大事にするように私も心がけたいと思った。