石橋湛山評論集

石橋湛山評論集 (岩波文庫 青 168-1)

石橋湛山評論集 (岩波文庫 青 168-1)

石橋湛山評論集 (ワイド版岩波文庫)

石橋湛山評論集 (ワイド版岩波文庫)

やっぱり、石橋湛山はすごい。
戦前から戦後にかけて、あれほど鋭く、的確に、時事に向って言葉を紡ぎ続けた人は、そんなに多くはないだろう。

今読んでも、戦前に湛山が指摘した問題(たとえば官僚制の問題や、市町村主体の地方自治の不足など)という問題が、いまもってちっともクリアされてないどころか、きわめて今日的な課題であることに驚かされる。

また、日本の膨張政策や侵略に、一貫して警鐘を発し続け、的確な批判と代替案を出し続けていたところも、本当に勇気のある、すごいことだったと思う。

問題は、湛山のこれほどの智慧と先見の明が、ちっとも当時の日本には生かされなかったことがだろう。
それは戦前もそうだったろうし、戦後もそうだったのかもしれない。

石橋湛山という人は、これからこそ、もうちょっと見直されて、検討されるべき人なのかもしれない。
この精神の継承に、日本の将来も幾分かかかっているような気がする。