
- 作者: マルクス,エンゲルス,廣松渉,小林昌人
- 出版社/メーカー: 岩波書店
- 発売日: 2002/10/16
- メディア: 文庫
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ひさびさにぱらっと読み返していて、
プロレタリアート(労働者)の不安定なあり方は、世界市場を前提にしている、世界市場や世界史に直結しているのが労働者である、
という内容にはっとさせられた。
この労働者の箇所を、今の日本の非正規雇用やプレカリアートに置き換えてみれば、そのまんまあてはまる。
グローバル市場を前提にして、今の日本の非正規雇用や正規雇用の賃金やありかたも決められてくるし、そういった意味で、本当にグローバル市場や世界史に我々は直結してるんだなあということを、
ひょっとしたら当たり前なのかもしれないけれど、あらためて考えさせられた。
だから、本当は、自分たちのあり方や不安や不安定さの理由やよって立つところを知るためには、この世界や社会の仕組みをよく知ることが大事なのだろう。
この世界や社会をつくるのは、抽象的なイデオロギーや思想ではない。
現実に活動している人間たち、現実的な生活過程から出発して、物事は考えなければならないし、思想やイデオロギーは本当は現実的な生活過程の残響やこだまである。
というのがこの本で書かれていることだと思うけれど、単に「史的唯物論」とレッテルを貼るのとは異なる、とても生き生きしたものの考え方だと思う。
後世の俗流マルクス主義とは異なる、生き生きとした思考の躍動が、この「ドイツ・イデオロギー」には流れている気がする。
そうしたところを見ていると、やっぱりマルクスそのものは、たいしたものだなぁと思う。
教条的なマルクス主義にこだわらず、今に生きる人が今の世を考え直す時にも、参考になるものがある古典と思う。