大西巨人 のぞゑのぶひさ 「神聖喜劇」第一巻

神聖喜劇 (第1巻)

神聖喜劇 (第1巻)

私のバイブル。

本当、最高の作品と思う。

世界は真剣に生きるに値するのか?
国家社会の現実とその進行方向を決して肯定しないが、しかしその変革の可能性もどこにも発見することができない。

そんな虚無感の中から、あえて軍隊生活に身を投じた主人公が、さまざまな困難を天才的な記憶力と頭脳で乗り越えながら、「滑稽で悲惨な生」を生きるに値するし、自ら生きるものとして受けとめていく姿は、何度読んでも感動する。

「大抵勇を尚(たっと)び死をいとはず、恥を知り信を重んじ、むさときたなく候事を男子のせざる事と立て候習はし」

「一寸の虫にも五分の魂」

などの言葉には、本当にしびれた。
私の座右の銘となった。

個性を不要とし、圧殺しようとする軍隊生活に対し、

「誰も決してこの口に”忘れました”と言わせることはできはしない。
俺の個性が消えてなくなってたまるか、
消えてなくなりはしないぞ。」

という心を決して失わず、膨大な法規や事実根拠や質問を駆使して立ち向かう主人公の東堂太郎は、やっぱり私の理想であり、本当男ならばこのようでありたいと思う。

繰り返し読みたい、名作中の名作と思う。

読むたびに、本当気合が入る。