- 作者: ポウプ,上田勤
- 出版社/メーカー: 岩波書店
- 発売日: 1950/10/25
- メディア: 文庫
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18世紀イギリスを代表する詩人・ポープの「人間論」。
読むと心が落ち着く。
人間の限界、
存在の大いなる連鎖の中の、自分の適切な位置。
境遇はいろいろ違っていても、幸福は平等に配られている。
そんなことに思い至らせてくれる。
人間への、ちょっと醒めた、ビターな味のある名詩である。
「(幸福は)いづこに生え、いづこに生えないのか。我らの努力が空しいのは、
耕作が悪いためで、土壌に罪はないのだ。
まことの幸福は土地を選ぶものではない。
いづこを探して得られず、またいづこにもある。」
「汝の本分を果たすこと、そこに名誉があるのだ。」
「真に値するもの以外は名声はすべて空しく、
頭の周囲を戯れるが、心情に深く徹することはない。
自己に悔なき一時間は、愚昧な輩が眼をみはり、
大声に万歳を叫ぶ数年よりも、価値がある。」
などなどの言葉は、特に印象深かった。
つまらない有象無象の今の本よりは、よほどためになる、知恵の宝庫と思う。