ポープ 「人間論」

人間論 (岩波文庫 赤 224-1)

人間論 (岩波文庫 赤 224-1)


18世紀イギリスを代表する詩人・ポープの「人間論」。

読むと心が落ち着く。

人間の限界、

存在の大いなる連鎖の中の、自分の適切な位置。

境遇はいろいろ違っていても、幸福は平等に配られている。

そんなことに思い至らせてくれる。

人間への、ちょっと醒めた、ビターな味のある名詩である。

「(幸福は)いづこに生え、いづこに生えないのか。我らの努力が空しいのは、
耕作が悪いためで、土壌に罪はないのだ。
まことの幸福は土地を選ぶものではない。
いづこを探して得られず、またいづこにもある。」

「汝の本分を果たすこと、そこに名誉があるのだ。」

「真に値するもの以外は名声はすべて空しく、
頭の周囲を戯れるが、心情に深く徹することはない。

自己に悔なき一時間は、愚昧な輩が眼をみはり、
大声に万歳を叫ぶ数年よりも、価値がある。」

などなどの言葉は、特に印象深かった。

つまらない有象無象の今の本よりは、よほどためになる、知恵の宝庫と思う。