佐倉宗吾 墓碑銘文
一死誠心為万人 一死 誠心 万人のため
何憶家倫及惨刑 何ぞ家倫および惨刑を憶(おも)わんや
休言義侠空遭戮 言うを休(や)めよ 義侠 空しく戮に遭うを
菩薩元来誓捨身 菩薩 もとより 捨身を誓ひて来る
(大意)
その死も、至誠を尽くした生涯も、すべて万民のためだった。
どうして家族のことやその犠牲、およびむごたらしい刑罰を思わないことがあったろうか。
それらを十分覚悟の上で、ああした義挙に出たのだ。
あのように侠気に生きた義民が、むなしく殺戮にあったことを云々するのはやめよう。
なぜならば、それこそが佐倉宗吾の本望であり、菩薩というものは元来、人々のため、生きとし生けるもののために己の身を捨てて尽くすことを誓って、この世に生まれて来たのだから。