- 作者: 里中満智子
- 出版社/メーカー: 中央公論社
- 発売日: 1996/10
- メディア: 単行本
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近松門左衛門の「心中天網島」・「女殺油地獄」・「鑓の権三重帷子」・「曽根崎心中」を里中満智子が漫画化していて、なかなか面白かった。
江戸時代に本当にあった出来事がそれぞれ元になっているそうだけれど、それぞれ、主人公の男性のダメンズぶりに驚く。
どうしてこんなダメンズに、そこまで女性が尽くしたのかがいまいち不可解だが、人生というのは、さらには人の心というのは、実に不可解なものということなのだろう。
『春色梅児誉美』の主役の男性もかなりのダメンズだが、近松の心中モノの男性に比べればそれでもマシな気がしてくるほど。
ただ、おそらくは、ダメンズのせい、あるいはそれに惚れたり親切にする女性のせいというだけではない、どうしようもないしがらみの多い江戸期の社会の仕組みとかも問題はあったのだろう。
なかなか面白い、深い作品だった。
人間というのはいつの世も罪深く、どうしようもない面を抱えているのかもしれない。