- 作者: 横山光輝
- 出版社/メーカー: 中央公論社
- 発売日: 1996/03
- メディア: 単行本
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読みやすくて、面白かった。
平家物語は、いろんな本や解説書や、あと原文も昔読んだことがあるのだけれど、だいぶ忘れていてたのであらためていろいろと、面白かった。
ちっとも記憶になかったのだが、太宰府にいた平家が豊後の緒方氏から逃れて、徒歩で箱崎の浜まで逃げていくシーンがあり、35号線を通っていったのだろうかと思いながら読んだ。
多くの女官たちが裸足で血豆ができながら歩いていったという話に、なんとも心が痛んだ。
あと、今回読んでいて思ったのは、平家の指導者たちの大人気なさである。
殿下乗合事件で摂関家の基房の一行の髻を切って辱めたり、宗盛が源頼政の息子の名前を馬につけて辱めたりと、実に大人気ない振る舞いで、無用な人々の反発を買ったり、せっかく木曽義仲が和睦を申し込んできても面子にこだわって受けいれなかったりと、実に愚かしいと思った。
吾妻鏡における源頼朝や北条一門の冷酷なまで緻密な冷静さに比べると、これでは平家が滅びるのもやむをえなかった気がする。
人間というのは、えてして、無用な面子や怒りで身を滅ぼすことがあるのだろう。
栄華など、束の間の、はかないむなしいものかもしれない。
ただ、それはそうとして、平家物語はあらためて理屈抜きで面白いと思った。
また、ぼちぼち、いろいろと関連の本を読んでみたい。