原田正純先生の事

原田正純さん死去 水俣病研究の第一人者
http://kumanichi.com/news/local/main/20120612002.shtml



もう十数年前になるけれど、原田先生が熊本大学医学部を退官される時の最終講義に行ったことがある。

その時や、その他の時に、何回か原田先生を間近で見たことがあったけれど、なんといえばいいだろう、

本当に、観音のようなお顔だなあと思った。
温顔といえばいいのだろうか、とても優しげな御顔だった。

その最終講義の時に、私も質疑応答の時に質問させてもらった。

申し訳ないことで、自分がその時にどんな質問をしたのか、ちょっと正確に覚えていない。
たしか、水俣病のことにしろ、政府や御用学者がなんらかの情報を隠蔽していたり、間違った情報を流す場合、非常に苦しい戦いを強いられると思いますが、そういう時に心がけるべきことは何でしょうか?といったことを質問したのだったと思う。

原田先生は、にこにこした優しい顔の中に、一瞬だけ鋭い目の光を放ちながら、

「だからこそ、きちんと証拠や資料を徹底してきちんと揃えておかないといけない。そうでないと、相手方にやられてしまうからね。」

ということをおっしゃったのをはっきり記憶している。

その時に、この方はただ優しいだけでなく、本当に闘ってきた人なんだ、それが本当の優しさなんだ、本当の優しさというのは闘う勇気を内にしっかりと持っている人のことなんだ、とわかった気がした。

遠く及ばぬながら、万分の一でも原田先生のような本当の優しさにあやかりたいと、訃報を聞きながら、あらためて思った。