絵本 「かべ 鉄のカーテンのむこうに育って」

かべ―鉄のカーテンのむこうに育って

かべ―鉄のカーテンのむこうに育って


チェコ出身の著者が、鉄のカーテンがまだあった頃の、共産主義体制下でのチェコでの暮らしを思い出して描いた絵本。

強制や監視ばかりで、本当にずっと西側だった日本人からは想像がつかない息が詰まるような生活の様子がとてもありありと伝わってきた。

自由は本当に尊いかけがえがないものであること。
そして、その自由があることは、いかにありがたいことか。

読みながら、あらためて本当に教えられた。

プラハの春の前の頃、チェコの若者がどれほどビートルズプレスリービーチ・ボーイズに憧れたか。
束の間のプラハの春がどれほど希望があったか、そしてそれが無残にソビエトの軍隊に圧殺された時に、どれほどがっかりしたか。

にもかかわらず、主人公やチェコの人々が、暗い時代にも夢を描き続けて、本当にその夢を実現させ、鉄のカーテンを開けてぶっ壊して、自由な国を実現したのは本当にすごいと思う。

日本はずっと西側にいたせいか、あまりにも自由のありがたみや権力の怖さをともすれば忘れがちなのかもしれない。
不平不満ばかり言う前に、こうした冷戦下の東欧がいかにつらくみじめなものだったか、たまには思いを馳せて、歴史や政治について考え直すのも良いのかもしれない。

絵本とはいえ、並みの本よりはるかにメッセージ力のある大人が読んでもうならされる絵本だった。