記者会見の全体に耳を傾けた人はどんだけいるのだろう

政権公約にない消費増税、おわびしたい…首相
(読売新聞 - 08月10日 18:55)
http://news.mixi.jp/view_news.pl?id=2116105&media_id=20


野田さんの記者会見のごく一部だけ切り取っている記事だけれど、いったいこのニュースからのブログやツイッターで野田さんに対して悪口雑言言っている人たちのうちの何人が、きちんと昨日の記者会見の全文に眼を通す、あるいは耳を傾けているのだろう。


「未来を搾取してはならない」
「日本という国の信用が失われてはならない」


という二点は、私は至極もっともなことで、これに危機感を持たないような人は政治を語る資格はないと思う。
対案もなく、ただ増税反対だけ壊れたレコードのように繰り返している人々は、無責任に「国民の生活が台無し」にする人びとではないか。
かような無責任な人々に比べれば、野田さんの方がはるかにこの国をギリギリのところでなんとか維持しようという責任感を持っている。


税と社会保障の一体改革は、菅さんと与謝野さんが第一の功労者だろうけれど、そのバトンをしっかりと受け継いで実現したのは野田さんの功績だ。
この三人は、今現在ではいわれなき悪評と罵倒と誹謗中傷を受けているが、後世必ず高く評価されるだろう。
あの三人がいなければ、今頃日本は財政破綻をしていた、ギリギリのところで財政と社会保障を維持したのはあの三人だった、と。




(野田さんの昨日の記者会見)

http://www.kantei.go.jp/jp/noda/statement/2012/0810kaiken.html

本日、社会保障一体改革の関連法案が参議院本会議におきまして可決・成立をいたしました。
 まず、この一体改革について、その意義を語る前に、2つのことから私は、お詫びしなければいけないと考えています。

 消費税を引き上げるということ、国民の皆様に御負担をお願いするということは、2009年の総選挙で私ども民主党は勝利をさせていただきましたけれども、そのときのマニフェストには明記してございません。記載しておりませんでした。このことについては、深く国民の皆様にこの機会を利用してお詫びをさせていただきたいと思います。

 2つ目は、中小零細企業の皆様など、日々の資金繰りに大変御苦労されている皆様がいらっしゃいます。家計のやりくりで厳しい生活の中で大変御苦労されている皆様がいらっしゃいます。そういう皆様にも等しく御負担をお願いする、そういう法案でございます。
 国民の皆様に御負担をお願いするということは、政治家としては、なるべく自分の任期中は避けたい、逃げたい、先送りしたい、そういう切ないテーマです。減税をするときは胸を張って言えるかもしれません。でも、増税をするときは本当に心苦しい、そういう気持ちでいっぱいであります。そうした2つの申し訳ないという気持ちを持ちながらも、なぜ社会保障と税の一体改革をやらなければ今、いけないのか、幾つかの観点から御説明をさせていただきたいと思います。

 1つ目は、社会保障の安定財源を早急に確保し、社会保障を支えていかなければならない状況に陥っているということでございます。
 長い人生の中で、残念ながら、時には病気になったり、けがをしたりすることはどなたにもあり得ることであります。だんだん年を老いていくということは、これは人の定めであります。そのときの生活をどうするのか。こういうときに出番があるのが社会保障の恩恵です。国民皆年金、国民皆保険介護保険、こうしたさまざまな社会保障の恩恵にどなたもどこかの段階で浴さなければならない、私はそういう運命だと思います。
 この国民生活に直結をしている社会保障でありますけれども、人類が経験をしたことのないような世界最速のスピードで少子高齢化が進んでおります。その社会保障費は毎年1兆円規模で膨らみ続けています。その社会保障を支えるためにだれかが負担をしなければなりません。負担なければ給付なし。打ち出の小づちのようにどこかからお金が湧いてくるわけではありません。
 今回、消費税の引き上げという形で国民の皆様に御負担をお願いいたしますが、その引き上げられた分は、増収分はすべて社会保障として国民の皆様に還元をされる。すべて社会保障として使われるということをお約束させていただきたいと思います。

 2つ目は、未来を搾取するという、そういうやり方は、もはや通用しない、とるべきではないということであります。
 社会保障の給付は、高齢者中心、そして、負担は現役世代の所得税や保険料中心というやり方では、社会保障の持続可能性はありません。現役世代の負担だけでは足りなくて、将来世代にツケを回し、将来世代のポケットに手を突っ込んで、今の社会保障を支えるというやり方は、これは持続可能性がありません。
 従って、今回は、給付、負担、両方を併せて世代間の公平を図るという、そういう改革の理念の下で法案をまとめさせていただきました。未来を搾取するという社会には、将来に不安を抱いたまま、将来に夢を持たない社会が続くということであります。その流れを変えていく改革であるということを是非国民の皆様には御理解をいただきたいと思います。

 3つ目は、私どもの暮らしの安定のためには、日本という国の信用が失われてはいけないということでございます。
 今、欧州の債務危機、世界中が懸念をしている状況となっておりますけれども、ひとたび国の財政に対する信認を失ったときに、それが金融不安、経済不安、信用不安につながっていき、ひとたびそうした不安が広がった暁に、急いで対応をしようとするならば、年金等の社会保障を削り、公務員の給与をカットし、国民生活に甚大な悪影響を及ぼすようなことをやらなければ、そのような緊縮策をとらなければならないということを我々は目の当たりにしています。日本をそのような国にしてはなりません。
 長期債務残高は世界一の水準です。でも、金利が低利で推移をしている今のこの状況の中で社会保障の安定財源を確保し、財政健全化を同時に達成するということを今から歩み始めていくことが大事であるということについても、是非国民の皆様には御理解をいただきたいと思います。

 4点目は、このような困難を伴う課題解決でございますので、大変多くの御賛同をいただくということは容易ではございません。だからこそ、今までやらなければならない課題であると多くの政治家がわかっていながらずっと先送りしてきたのがこの一体改革だったと思います。
 今求められているのは、決めなければいけないときに先送りをせずに決めきる政治だと思います。決断しなければならないときに決断する政治を行うことこそ最大の政治改革だと思います。こうした必要性から、今回の一体改革を国会でお諮りをし、今日成立をさせていただきました。
 この改革を行っていくことは本当に困難を極めます。先輩政治家たちが消費税を導入するとき、あるいは税率を引き上げたとき、筆舌に尽くしがたい大変な御苦労をされたことを私も承知しております。実際、私自身も今日の成立に至るまでは、想像を超える厳しい困難があったということを体感させていただきました。

 よく私が、この改革には政治生命をかけると言っているけれども、なぜ震災復興や原発事故との戦いや経済の再生に政治生命をかけないのか、こういう御質問をいただきました。震災復興も、原発事故との戦いも、経済再生も、行政改革も、これは与野党問わず、どなたもやらなければいけないテーマだと思っています。全身全霊を傾けてやらなければいけないテーマだと思います。国民の皆様もほとんどの方が御賛同いただけると思います。しかし、国民の皆様に御負担をお願いするこのような一体改革は、国論を二分するテーマであり、政治生命をかけるという覚悟がなかったらば、ブレたり、逃げたり、避けたり、ひるんだりする可能性がありました。だからこそ、あえてこのテーマについては政治生命をかけるという不退転の覚悟の思いを述べさせていただきました。
 今日、こうして成立をさせていただき、3党合意に知恵を出し、汗を出し、そして審議を通じて御賛同、御支持をいただいたすべての議員の皆様、御賛同はいただけなかったけれども、多角的な観点から議論に参加をしていただいた議員の皆様、すべての議員の皆様に万感の思いを込めて感謝を申し上げたいと思います。

 なお、この一体改革をもってすべてが終わりではございません。国会審議を通じても、様々な宿題や検討課題をいただきました。こうした課題もしっかりとこれから取り組んでいかなければならないと思います。併せて、国民の皆様は一体改革とともに経済の再生、政治改革、行政改革、包括的にやってほしいと思ってらっしゃる、そういう御期待があると思います。そうした思いにもしっかり応えていく政治というものをこれからも実現していきたいと考えております。

 
(引用以上)