ETV「心の時代」今井紀明「怒りを超えて優しさを」を見て

ETV「心の時代」の、今井紀明さんという方の「怒りを超えて優しさを」の回を、この前録画していたので見た。

https://www.nhk.jp/p/ts/X83KJR6973/episode/te/119PN5Y1W8/

 

今井さんは2004年にイラクで人質となった過去を持つ。

そういえば、当時高校生の人がイラクで人質になった報道をなんとなく覚えている。

 

詳しいことは当時は私は知らなかったのだけれど、番組を見ていて驚いたのは、無事解放されて帰国した後、「税金泥棒」とか「死ね」とか「キモイ」といった葉書や手紙が全国から自宅に届いたということだった。

 

今井さんは一度自分の心は死んだ、ということを話していたが、大げさではなく、本当にそうだったのだろうと見ながら気の毒に思えた。

 

その後、大学の時に良い友人に恵まれ、卒業後は多くの会社で落とされたものの、雇ってくれる会社もあり、なんとか立ち直っていったそうである。

 

それから、資金もノウハウもない中で、NPOを立ち上げ、貧困や虐待に苦しむ若者や児童の支援に尽力している様子が番組では紹介されていて、感心させられた。

 

孟子が「天のまさに大任をこの人に降さんとするや、必ず先づその心志を苦しましむ」ということを言っていたけれど、将来多くの人を助けることができるようにするために若い時から苦労したのか、あるいは若い時に苦労したからのちに多くの人の苦しみがよくわかるようになったのか。

 

コロナ禍でその日食べるのにも苦労してる若者とのやりとりや、虐待で苦しんでいた児童の話なども紹介されていて、そういうところに働きかけている今井さんは偉いなぁと番組を見ていて感心させられた。

 

イラク人質事件の時に心ない言葉を浴びせた人々は、今このような様子を見たら、どう思うのか。人間というのは長い目で見ないとわからないことも多いのだとあらためて思う。