内村鑑三 「万全の策」

内村鑑三 「万全の策」


「神その羽をもって汝を庇い給わん。汝その翼の下に隠れん、その真実は盾なり干なり」
(詩篇第九十一篇四節)


神の命を待てよ、然らば何事も行われん。
身を神に任かせよ、しからばすべての力は汝に加えられん。
汝は神の属(もの)にして汝の事業は神の事業たらざるべからず。
このゆえに汝に計画なるものあるべからず。
汝に焦心憂慮の要あるなし。
神は彼れ自身にて活動する者、吾人は身を彼に献ぐれば足れり。
自から計り、自から行わんとして吾人は神より離絶する者なり。
而してかく為して偉大なる行為の吾人の手に依て成らざるはもちろんなり。
吾人もし人に対し活動的たらんと欲せば神に対しては全然受動的たらざるべからず。