八木重吉 「神を呼ぼう」

神を呼ぼう (新教新書)

神を呼ぼう (新教新書)


八木重吉のキリスト信仰に関連した詩を集めた一冊。
本当に素晴らしかった。
ぜひ多くの人にお勧めしたい。




 「月」

櫟(くぬぎ)ばやしのうえに
まるい月がひかつている
まだ日ははいりきつてはいず
つめたい風に吹かれながら月をみていた
月をみながらいろいろのことが胸に浮ぶ
ことに自分がどう生きたらばよいかということがしきりに考えられ
つまりは神のこころをはつきりと知つて
ひとびとと美しく交り
しまいまで耐えてゆくことが大切だとおもつた
そしてこんな正しい考えをまとめてくれる
幼げな顔の月がありがたかつた




  「愛のことば」

愛のことばを言おう
ふかくしてみにくきは
あさくしてうつくしきにおよばない
しだいに深くみちびいていただこう
まずひとつの愛のことばを言いきってみよう