中島竜美 「クラーク先生」


子ども向けに書かれた、クラークと札幌農学校についての本。
わかりやすくて面白かった。

「ジェントルマンでありなさい」

以外は一切の校則がないという型破りな札幌農学校をつくり、徐々に生徒と信頼関係を築き、生徒たちの自発的な要請により、聖書の熱血講義を行なったクラーク。

日本からアメリカに帰国したあとは、世界を一年かけて船で一週しながら勉強をする洋上学校を計画して挫折したり、鉱山の開発に失敗したりと、不遇な人生だったようだが、クラークはあの時にたしかに日本に非常に大きな贈りものをしてくれたのだと思う。

フロンティア・スピリットと聖書を読むという、かけがえのない贈りものと情熱を、クラークは日本に灯してくれたのだろう。

乳牛の飼育や酪農の指導はクラークが始めて、そのおかげでバターやチーズが国産できるようになったという話も興味深かった。

樺太から強制的に連れてこられたアイヌの人々の苦境については、どうも詳しい事情がわからず鈍感だったようで、開拓使アイヌを保護していると理解していたらしい。
その点は限界があったのだろうけれど、日本にいる滞在期間が短かったのでしかたがなかったのだろう。
クラークの弟子たちが、だいぶ時が経ってから、アイヌの人々の生活の改善に尽くしたという話も興味深かった。

クラークやジェーンズについては、またいろいろ他の本も読んでみたい。