『こんな美しい朝に 瞬きの詩人・水野源三の世界』

こんな美しい朝に―瞬きの詩人・水野源三の世界

こんな美しい朝に―瞬きの詩人・水野源三の世界


水野源三さんの詩を絵や写真とともにわかりやすくまとめてある一冊。
すばらしかった。


水野源三さんは、子どもの時に脳性麻痺によって全身が動かなくなり、言葉も話せず、ただ目のまばたきだけによって意志を通わせ、それによって多くの詩をのこした「瞬きの詩人」。


深いキリスト教の信仰に裏打ちされた、純化された言葉の数々は、本当に胸を打たれる。


また、この本には、水野源三さんの人生についての簡単な紹介や、言葉も描かれていて胸打たれた。


「自分とまわりの人とを比べず、ただ、イエスさまだけを見つめて生きてください。イエスさまは、いつも私たちのそばにいます。」


という水野さんの言葉には胸打たれた。


あと、水野さんは、無教会の高橋三郎先生と長年にわたり深い交流があったというエピソードも興味深かった。


多くの人に読んで欲しい、素晴らしい一冊である。


「しみる」


屋根の雪をとかす
柔らかな日差しも
ヨハネ福音書を読むには
まぶしすぎるから
障子をしめる


雪解け水が
地にしみる
主の御言葉が
わが胸にしみる


「はっきりと分かりました」


焚火の温かさは
焚火に手をかざした
その時に
はっきりと分かりました


焼きいものうまさは
焼きいもを食べた
その時に
はっきりと分かりました


キリストの愛は
キリストを信じた
その時に
はっきりと分かりました


「砕いて砕いて砕きたまえ」


一、み神のうちに生かされているのに
自分ひとりで生きていると 
思いつづける心を
砕いて砕いて砕きたまえ


二、み神に深く愛されているのに
ともに生きる人を真実に
愛し得ない心を
砕いて砕いて砕きたまえ


三、み神に罪を赦されているのに
他人の小さなあやまちさえも
赦し得ない心を
砕いて砕いて砕きたまえ


「目には見えない」


心に迷いある時には
私たちの目には見えない
私たちを導きたもう
恵み深き主の御手を覚えよ


心が飢え渇く時には
私たちの目には見えない
私たちを養いたもう
恵み深き主の御手を覚えよ


心まで疲れた時には
私たちの目には見えない
私たちをいたわりたもう
恵み深き主の御手を覚えよ


「キリストを知るためだとわかりました」


病に倒れたその時には 
涙流して悲しんだが
霊の病いやしたもう
キリストを知るためだと分かり
喜びと感謝に変わりました


友にそむかれたその時には 夜も眠れずに恨んだが
とわに変わらない友なる
キリストを知るためだと分かり
喜びと感謝に変わりました


過ち犯したその時には 心を乱しくやんだが
すべてをばつぐないたもう
キリストを知るためだと分かり
喜びと感謝に変わりました