断食

昨日の日没から、今日の日没まで、ユダヤ教だとヨム・キプール(大贖罪日)という日だそうで、水も食べ物も一切とらず断食するそうである。

というわけで、私もやってみようと思い、昨日の日没から今日の日没まで水も食べ物とらない断食をやってみた。

これがきつかった。

めちゃくちゃきつかった。

食べものはともかく、水をとらないのがこれほどきついとは。

仏教にはウポーサタ(布薩)という日がちょくちょくあって、私もときどきその日は半日だけ断食をしてきた。
しかし、ウポーサタは水は飲んでかまわない。

丸一日、水も飲まなかったのは、ひょっとしたら生まれて初めてかもしれない。

日頃、自由に三度食事をとれて、飲み物も自由に飲めるのが、いかにありがたいことか、いかにすばらしい恵みの中で生きていたか、身にしみてわかった。

トーラーの中で、荒野を旅するユダヤ人たちが、水や食べ物がなくて不平不満をモーセに対してぶつけるシーンがあって、今までは、文句の多いろくでもない民だと思いながら読んでいたけど、特に水は切実に困って、彼らも必死だったんだろうなぁと少しわかった気がする。

ヨム・キプールは、トーラーの中に、レビ記の十六章に規定されている。
トーラーに描かれる苦難の旅路を、過越の祭とともに、偲ぶ意味もあったのだろうか。

ちなみに、ヨム・キプールの日には、ヨナ書を読むそうで、ひさびさに読んでみたけど、わずか数ページの短い書なのに、本当に凝縮して物語が詰まっていて、すごい物語だと思う。

にしても、日没後、一日ぶりに飲んだ水はとてもおいしかった。
ただの水がこんなにおいしいとは。

時々は、謙虚になるために、こんな一日があるのも良いのかもなぁ。