
- 作者: 長倉洋海と東北の子どもたち
- 出版社/メーカー: NHK出版
- 発売日: 2012/02/24
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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311のあとの、被災地の子どもたちの言葉と写真を集めた一冊。
とても胸を打たれた。
あの大きな地震と津波と原発事故がどれほど子どもたちの心を痛め、苦しめているか。
と同時に、これほどの悲しみに際しても、家族や友達を思いやり、しっかりと未来の夢を見て、元気に生きようとしているその姿に、とても胸を打たれた。
「私は今まで「ありがとう」なんて
何も考えずに言っていました。
でもこのしん災で、
とても深い「ありがとう」を知ったと思います。」
「地震があって考え方が少し変わった。
『日常』の価値は『非凡』で、
『日常』はパズルみたいに
ピースを集めると成立するんだと考えるようになった。
前は、ただ『日常』を、
だらだら同じことの繰り返しで、限りなくある物で、
それがやっと終わったら死ぬんだと思っていた。
私は、今生きていることが尊いと考えるようになれた。
それは、地震でゆいいつ得た物だと思う。」
これらの言葉を、十二才で紡いでいる子どもたちは、本当に偉いと思う。
大人になったら、みんなが助けてくれたように、今度は困っている人々を助けたい、ということを何人かの子どもが語っているのにも、目頭が熱くなった。
大人の方が襟を正して、この子どもたちに恥ずかしくないような日本にしなくてはならないと思う。
被災地の復興はまだまだ完全ではないところもたくさんあると思う。
物心両面において、これからも、本当の意味の復興をめざしたいし、そのためにはこの本などの、被災地からのメッセージに、私たち他の地域の人間は、耳を傾けていくことが大切なのだと、あらためて教えられた、すばらしい一冊だった。