絵本 「一度もだかれなかった人間の話」

一度もだかれなかった人間の話 (絵本・日本のココロ)

一度もだかれなかった人間の話 (絵本・日本のココロ)


近未来の設定なのだろうけれど、リアルに悲しい絵本だった。


ある赤ちゃんは、生まれてから一度も母親に抱っこされることもなく、授乳もすべて機械を通し、子育てもロボットに任される。


本当は親にかまって欲しいし、もっと話したいと思うが、偏差値や成績で上位になることだけを求められる。


ついに気持ちが爆発し、ロボットを壊し、暴れるが、自分自身もその時の事故で死んでしまう。


あまりに哀れな物語だが、現実に今やいくばくかはありそうだし、これからもあり続けそうな悲惨な話である。


「人は、愛されるために、生まれてきたのです。
人は、愛を伝えるために、生きていくのです。
ただ、それだけのために―。」


というラストの言葉が、心に刺さる。