「ユダヤ・ジョーク 人生の塩味」

ユダヤ・ジョーク 人生の塩味

ユダヤ・ジョーク 人生の塩味


今日、『ユダヤ・ジョーク 人生の塩味』を読み終わった。
最近ちょっとずつ読んでいたのだが、とても面白かった。


ユダヤ人は冗談が好きなようで、この本にはそのエッセンスが詰まっていたのだけれど、しばしばとても笑わされたし、なんというか、笑いを通してユダヤ人の歴史が垣間見えた気もした。
しばしばブラックなユーモアも多かった。
ユダヤの抱えてきた困難な歴史と、それを咄嗟の知恵で生き抜いてきた様子もうかがえた。
いかなる人生の辛苦も笑い飛ばす逞しさも感じた。


いくつも笑える話はあったけれど、以下の三つの話は特に心に残った。


一つは、こんな話。
ナポレオンが諸君の願いごとを何でもかなえよう、とある時に兵士たちに向かって言った。
ポーランドの兵士は祖国を。スロヴァキアの兵士は土地を。ドイツの兵士はビール工場を。それぞれ願った。
それに対し、ユダヤ人の兵士は「今晩の食事に大きなニシンを一匹ください。」と願い、ナポレオンは即座にかなえてくれた。
他の兵士たちが何でもかなえてくれると言ったのに馬鹿だなぁとユダヤ人の兵士に言うと、いずれ誰が賢く誰が馬鹿だったかは気づくよ、私は少なくともニシンを一匹確実に手に入れたんだから、と言ったという話。
ユダヤ人の現実主義がうかがわれる。


もう一つは、こんな話。
ある人が神さまに向かって、神様、あなたにとって人の百万年は人にとってのどれぐらいでしょうか、と尋ねた。
すると神さまは、一分間ぐらいだね、と答えた。
さらに、そのある人は、神さまに向かって、それでは神さま、あなたにとって人の百万ドルは人にとってのどれぐらいでしょうか、と尋ねた。
すると神さまは、そうだな、一セントぐらいだな、と答えた。
それでは、その一セントを私にください、と人は言った。
すると神さまはこう答えた、わかった、それでは一分後に。


もう一つは、ある人がノアの箱舟から学んだこと、として挙げられていた以下の十一のこと。


一、舟に乗り損なうな。
二、われわれは同じ船に乗っていることを忘れるな。
三、先だって計画せよ。ノアが箱舟を造ったとき、雨はまだ降っていなかった。
四、元気を保て。六十歳の時に、誰かがでっかいことを頼みに来るかもしれない。
五、批評に耳を傾けるな。しなくてはならない仕事をやりつづけよ。
六、高い地面に未来を築け。
七、安全のためには、ペアで旅せよ。
八、スピードはつねに有利とはかぎらない。カタツムリもチーターと一緒に乗っていた。
九、ストレスに悩むときは、しばらく漂っているがよい。
十、覚えておくこと、箱舟はアマチュアが造ったが、タイタニック号はプロが造ったのではなかったか。
十一、どんな嵐が襲っても、神が一緒なら、いつでも虹が待っている。


三つとも、単なるジョークというより、考えさせられる話だった。


他にももっと単純に笑い転げるいろんな、かなりきわどいジョークもたくさんあった。


やや大人のテイストの、ブラックでビターなジョークも多いけれど、多くの人にお勧めした好著。