絵本 「おこりじぞう」

おこりじぞう―絵本

おこりじぞう―絵本


かつて、広島の町のある場所に、いつもにこにこ笑顔でいるように見える、柔和な顔のお地蔵様がいた。

しかし、1945年の8月6日の日。

すべてが吹き飛ばされ、地獄のような様子となった広島の町。

一人の少女が、焼けただれた身体で、そのお地蔵様の前までやって来て倒れ、水、水、と水を欲しがった。

お地蔵様は、その途端、仁王か不動明王のような恐ろしい形相に顔の表情が変わった。

そして、大きな目から、涙があふれ出た。

そのお地蔵様の目からこぼれる涙が少女のくちびるにそそぎ、少女は束の間渇きをいやされると、やがて亡くなっていった。

心に残る絵本だった。
多くの人に読み継がれて欲しい。