絵本 「オデュッセウスの旅」

オデュッセウスの旅―ギリシア神話より

オデュッセウスの旅―ギリシア神話より


とても面白かった。

よくもまぁ、これほどめくるめく物語を、古代ギリシャ人は紡ぎだしたものだと思う。

あらゆる艱難辛苦や誘惑を振りはらい、ひたすら故郷のイタカ島をめざして、二十年もの長い困難な旅をいくオデュッセウスの姿は、やはりなんといっても英雄というものはかくあるものと教えられる。

今回読んでいて、そういえばそんな話もあったっけと感銘深かったのは、記憶をなくしてしまう蓮の実を兵士の一部が食べてしまうのを、なんとかとりあげて引っ張っていくシーン。
人間、忘却や麻薬のような快楽の方が心地よいのかもしれないが、それをあえて振り払ってこそ、目的地につけるのだろう。

また、冥界にちょっと行って、いろんなすでに死んだ人々と話す中に、アキレウスがいて、王として死ぬよりも、召使いとして生きている方がすばらしい、生より尊いものはない、とアキレウスオデュッセウスに語るところには、ちょっと全然記憶になかったのだけれど、考えさせられるエピソードと思う。

他にもいろいろ関連の文献をあらためて調べたくなった。
やっぱり、オデュッセウスは最高に面白い物語だと思う。