「ラファエロの世界」

ラファエロの世界

ラファエロの世界


ラファエロの美しい絵の数々が収録されていて、とても良い画集だった。

「椅子の聖母」や「キリストの変容」は以前実物を見たことがある。
あらためてなつかしく見た。

また、まだ実物はもちろん、今まで写真ででも見たことがなかった絵がいくつかあって、とても興味深かった。

ラファエロの絵は、本当に美しいと思う。

以前、パンテオンの中にあるラファエロの墓にも行ったことがある。

その頃は気付かなかったのだけれど、一見優しそうでおとなしそうに見えて、ラファエロは、実はとてもすごい勇気と度胸の持ち主とある時に気付いた。

というのは、この画集にも収録されているし、以前実物も見たことがあるのだけれど、ラファエロの代表作の「アテネの学堂」。
あの中に、ヒュパティアが描かれている。
映画「アレクサンドリア」を見て、キリスト教によって殺された女性の天文学者ヒュパティアを、ヴァチカンのど真ん中に描くなんて、ラファエロはなんと度胸があるのだろうと、その意味にずっと後になって気付いて、ただただ感嘆したものである。

この美しい絵の背後には、ラファエロの、何ものにも屈しない度胸と芸術家魂があればこその、数々の傑作なのだと、あらためてこの本を見ながら思った。