絵本 「海にしずんだ しま」

海にしずんだ しま (キリシタン昔ばなしシリーズ (5))

海にしずんだ しま (キリシタン昔ばなしシリーズ (5))


切支丹の伝説。

九州の西の方に島があり、作物がなかなか実らず貧しかった。

人々が神に祈ると、雪のようなものが天から降って来て、やがて多くの作物が実り、豊かな島になった。

しかし、豊かになると、人々は神を忘れ、逸楽や悪に耽るようになった。

丸じという村人に、神のお告げがあり、島にある狛犬(こまいぬ)の石像の眼が赤くなったら、島が洪水で沈むと言われる。

丸じは、村のみんなに伝えたが、みんな少しも信じず、聴かなかった。

丸じの話を信じたのは、足が生まれつき悪い丸じの兄と、狛犬の周りで遊んでいた六人のみなし子だけだった。

丸じは大きな木をくり抜いたくり船をつくった。

と、突然大洪水が起こり、足の悪いお兄さんは、自分を置いていくように言い、丸じたちは泣く泣くお兄さんを置いてくり船に向けて走った。

島は沈んでしまい、丸じと六人の子どもだけがくり船のおかげで助かった。

と、足の悪いお兄さんを背中に載せて、向こうから狛犬が泳いできて、お兄さんも無事に助かることができた。

丸じたちは無事に九州に辿りつくことができた。

という話。

長く鎖国をしているうちに、ノアの箱舟伝説が変化したものだと思うが、とても面白かった。