- 作者: 手島圭三郎
- 出版社/メーカー: 絵本塾出版
- 発売日: 2010/08/12
- メディア: 単行本
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すばらしい作品だった。
男はいかにあるべきか、あらためて教えられた気がした。
巣立ったばかりのしまふくろうのオスは、ある日、同じく巣立ったばかりのメスのしまふくろうと出会い、鳴き声で呼び交わし、恋をし、結婚する。
オスは、捕まえたエサを、まずメスに食べさせ、それから自分も食べる。
やがてひなが生れ、二人で協力して子育てをし、良い相手にめぐりあえるように願いながら、その巣立ちの姿を見送る。
しまふくろうの寿命は二十年だそうで、それまで夫婦仲むつまじく過ごすが、ある日、オスが身動きがとれなくなり、メスがエサをとりに行っている間に、ついに枝から落ちて死んでしまう。
メスはオスの姿が見えないので、探し、呼び続ける。
ある時に、若い時のオスとそっくりの姿が見え、駆けつけるが、それは樹の枝についた雪と氷でできた形だった。
メスは、楽しかった日を思いだす。
という物語。
「生きるよろこび」シリーズの中の一冊に入っているということを考えると、一見悲しい物語のように見て、実はこのしまふくろうの夫婦は、本当に幸せな一生だったということなのかもしれない。
いつかしまふくろうの鳴き声を直接聞いてみたいものだが、もし聞くことができたら、このような物語が背景にあるのかもしれないと心を澄ませ耳を澄ませたいものだと思う。