絵本 「にぐるまひいて」

にぐるまひいて

にぐるまひいて


おそらく十八世紀か、あるいは十九世紀初頭ぐらいのアメリカのある田舎の一家の御話。


その一年の間、家族みんなでそれぞれせっせと働いてつくり育てたものを、お父さんがポーツマスの街まで年に一度売りに行く。
そこでまたいろんなものを買って帰る。


また一年の間、せっせと家族みんなで働く。


素朴な、美しい、一昔前のアメリカの田舎の生活がただ綴られているだけなのだけれど、不思議と心に深い感動と余韻が残る。


おそらく、こういうのが本当の人間の暮らしなのだろうなぁという気がする。
物が多ければ幸せになるというわけではなく、かえって簡素な暮らしの中に幸せが昔はあったのかもしれない。


作者が小さい時に近所のいとこから聞き、そのいとこは幼い時にある老人から、その老人は子ども頃に大変なお年寄りから聞いた話が元になっているそうである。


美しい絵で一年の自然の移り変わりが描かれていて、とても詩情あふれる名作絵本だった。