絵本 「モチモチの木」

モチモチの木 (創作絵本6)

モチモチの木 (創作絵本6)


子どもの頃に、一度は名前を誰もが聞いたことがあるはずの絵本。
印象的な名前の絵本である。


しかし、どうも肝心な話をさっぱり忘れていたので、読み直してみた。


おじいさんと二人で暮らしている五歳の豆太は、日頃はこわがり。


家の庭の前には、おいしい実をつける大きな、名前のわからない木があり、豆太は「モチモチの木」と名付ける。
おじいさんが言うには、勇気のある子どもだけ、このモチモチの木が夜に光でいっぱいになるのを見ることができるのだと。


しかし、ある時に、おじいさんが急に夜中に具合が悪くなる。


日頃は真っ暗な闇をこわがっている豆太は、山のふもとのお医者様のところまで突っ走って、治療に来てくれるように頼む。


家に戻ってくると、庭にある大きな「モチモチの木」が、光でいっぱいになって見えた。
本当は星や月の光が雪に反射しているのだけれど、豆太の目には、たしかに光の木が見えた。


おじいさんは、お医者さんの治療のおかげで、無事に元気を取り戻した。


という話だった。


勇気というのは、優しさの中から発揮されるということ。
そして、そのような優しい勇気は、何かとても美しいものを見ることになることを、この絵本は美しく、優しく語りかけているのだと思う。


この絵本の話を忘れていたぐらい、大人になって、振り返ってみると、自分は「光の木」を見ることができただろうか。
何回か、自分なりの、「光の木」を見たような気もする。
これから、もっと心がけたいものだと思う。