絵本 「ブルムカの日記」

ブルムカの日記―コルチャック先生と12人の子どもたち

ブルムカの日記―コルチャック先生と12人の子どもたち



この絵本は、第二次大戦の時に、ナチスによって強制収容所に送られて亡くなったコルチャック先生とその孤児院の子どもたちが、まだ自由で元気だった頃の暮らしについて描いてある。


十二人の子どもたちが出てくるのだけれど、ひとりひとりがいかに独自の個性を持っていたか。
そして、そのひとりひとりの子どもの個性を、いかにコルチャック先生が愛し慈しみ、育てようとしていたか。


そのことが、読んでいながらなんとも切なく心に響く。


「子どもには、ありのままでいる権利、尊敬される権利があるとドクトル先生は言います。
わたしたちにとって一番大切な人、それはドクトル先生です。
ドクトル先生にとって一番大切な人、それはわたしたちです。」


ドクトル先生というのは、コルチャック先生のことだけれど、ここまで書かれた時点で、日記はもっと書きたいと思っている子どもの意志を無視して、やがて戦争が奪っていってしまう。


しかし、きっと、この深い愛情と結びつきは、戦争によっても、長い時の流れによっても、忘れられず、人々の記憶にとどまっているからこそ、この絵本や、いろんな本や映画や劇になって、語り継がれているんだろうと思う。


本当に尊いことは、コルチャック先生のように心から子どもを慈しみ育てることであり、決して戦争などではない。
そのことを、この絵本を読んで、あらためて思った。