- 作者: サン=テグジュペリ,Antoine de Saint‐Exup´ery,河野万里子
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 2006/03/28
- メディア: 文庫
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もうだいぶ前に、別の訳で読んだことがあったのだけれど、今回この新潮社から出ている河野訳を読んで、「こんな話だったっけ?!」と深い新鮮な感動を味わった。
以前読んだ時は、有名な、「ものそのもの・ことそのこと」を見る、という話が印象的だったのだけれど、
今回読んで印象的だったのは、キツネとの対話で、「絆を結ぶこと」について語られるところだった。
絆を結ぶとは、その人やその物事に対して、長い時間を費やし、多くの注意や心をそそぐこと。
そして、そのように結ばれた絆があって、はじめてその人や物事が自分にとってかけがえのないものとなる。
そのかけがえのないものこそ、この世界に意味を与えてくれる。
このシンプルなメッセージは、しかしながら、あらためてとても考えさせられた。
本当にそのとおりと思う。
そして、とかくなんでも急がされ、インスタントなものが尊ばれ氾濫する現代の大人の社会では、いつの間にか見失ってしまいがちなことなのかもしれない。
その他にも、大人の世界を風刺した、王さまや実業家や飲んだくれたちの姿は、おかしくて笑えるのと同時に、本当にこんな風だよなぁとも思えた。
一説には聖書に次ぐ全世界的ベストセラーだそうだけれど、たしかにそれだけのすばらしい力のある作品だと思う。
ばらに対する王子の態度も良かったと思う。
五億の星が笑うというビジョンの美しさも、本当にすばらしかった。
また、折に触れて読み直したい。
そしていつか、自分の手で翻訳してみたいとも思った。