- 作者: 新美南吉,保坂重政,葉祥明
- 出版社/メーカー: にっけん教育出版社
- 発売日: 2003/08/01
- メディア: 単行本
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戦争で手柄を立てて有名になりたい。
そう思って、戦争があっている地域へと旅をする若者。
途中、らっぱをひろう。
はじめは、人々を駆り立てて、戦争に行こうとする。
しかし、戦争のために荒れ果てて、疲れ果てている人々を見て、考えを変える。
平和のために、みんなの元気を出すために、麦の種を植えて、畑を耕し、育て、収穫するために、若者は率先してらっぱを吹き、働く。
やがて、黄金色の一面の麦畑ができる。
この新美南吉の物語に、葉祥明さんがとても美しい絵をつけて、素敵な絵本に仕上がっていた。
私が驚かざるのをえないのは、新美南吉がこの物語を書いたのは、戦時中、日中戦争のさなかだったということである。
どれほどの勇気と決意が必要だったことだろう。
思えば、敗戦後の日本というものは、このような思いでやってきたのかもしれない。
そして、いつの間にかまた、その時の痛切な思いを忘れてしまってきたのかもしれない。
らっぱは使い方によって、戦争のためにも、平和のためにも使える。
どちらに使うかは、結局は、人の心次第なのだろう。