絵本 「でんでんむしのかなしみ」

でんでんむしのかなしみ

でんでんむしのかなしみ


すばらしい作品だった。

ある時、自分のからの中に、いっぱい悲しみがつまっていると気付いたでんでんむしが、他のでんでんむしにどうやって生きていったらいいかと尋ねて回る。

出会うでんでんむしのひとりひとりは、自分のからにも悲しみがいっぱいつまっている、と答える。

「悲しみは、誰でも持っているのだ。私ばかりではないのだ。私は私の悲しみをこらえていかなきゃならない」

そう思い、このでんでんむしは、嘆くことをやめた。

この単純だけど、奥深い物語に、とてもきれいな絵がついていて、すばらしい絵本に仕上がっていた。

美智子皇后様は、小さい頃にこの新美南吉の物語を読んで、折々に思い出してこられたそうである。
たしかに、深い知恵の宿った物語だと思う。

この絵本には、もう一つ、「去年の木」という作品も収録されている。
これも素晴らしい作品だった。
形は変わっても、なんらかの形で、いのちは生き続けているし、そのためにできることがある、そう教えてくれる作品だと思う。

新美南吉のすばらしさをあらためて教えてくれる一冊だった。