詩 「菅さん」
首相を辞めた後、
ダンボールの上に立って、
人もまばらな街頭で、
脱原発を訴える、
菅さん。
小沢さんのような剛腕もなく、
安倍さんのような出自の良さもなく、
鳩山さんのような財産もなく、
小泉さんのような迫力もない、
菅さん。
庶民から生れ、
市民運動から出発し、
薬害エイズ問題で活躍し、
311の時の総理で、
今は脱原発に努力する、
菅さん。
右からも左からも叩かれて、
さんざん打ちのめされても、
にこにこと笑顔で、
お遍路をしていた、
菅さん。
菅さんがいる限り、
日本のデモクラシーは未だ死せず。
時には頼りなくても、時にはかっこ悪くても、
時には負けることがあっても、
また立ち上がる。
私にも、偉ぶることなく、気さくににこにこと、
握手してくれた菅さん。
リンカーンも、生きている間は、随分と悪く言われたそうだ。
時が経てば、日本のリンカーンと言われるのは、
戦後の政治家では、菅さんぐらいかもしれない。
「もう一度、日本を改めて創るんだ、そういう覚悟でこの危機に一緒に立ち向かっていこう」
311の時に、そう言った菅さんの言葉は、
今もこの心にこだましている。