伊藤比呂美 「たどたどしく声に出して読む歎異抄」を読んで

たどたどしく声に出して読む歎異抄

たどたどしく声に出して読む歎異抄

これはすごい本だった。
すばらしいの一言。

正直、ここまですごいとは想像もせずに手に取った。
今まで読んだいろんな歎異抄の現代語訳の中で、一番心に響いた。

伊藤比呂美さんの手によって、親鸞の魂が現代に、驚くほど新鮮に響き渡っている。
こんなにもわかりやすい、新鮮な響きになりうるというところがすごい。
原作者と訳者の両方がすごくなければ、こうはならない。

歎異抄の訳もすばらしかったけれど、和讃は本当に素直に胸に入ってきて、思わず涙が出そうになった。

また、親鸞聖人の御消息、つまり書簡集の訳もとても良く、よくここまで達意の現代語訳ができたものだと感心。

正信偈の訳もすばらしかった。
よくこの不思議な詩偈を、ここまで現代語訳で誰にでもわかるように、新鮮に訳したものだ。

また繰り返し読みたいと思った。

多くの人に手にとって欲しい一冊。