もつれた糸をひとつひとつ解きほぐすには 日韓関係ついて

慰安婦問題、韓国と協議中=「女性基金」正当評価を―野田首相
(時事通信社 - 09月24日 01:05)
http://www.jiji.com/jc/c?g=pol_30&k=2012092400007


この記事を読んで、女性のためのアジア平和国民基金のHPを検索してみた。


http://www.awf.or.jp/3/korea.html


読んでいると、あらためてもつれた経緯について考えさせられる記事である。


法的な責任と道義的な責任とを分けた時に、法的な責任については日本はすでに日韓基本条約で韓国との間に戦後賠償について解決を合意したわけで、韓国の経済成長に大きな寄与をする経済支援もすでに行った。


また、道義的な責任については、アジア女性基金が上記HPに見られるように、地道な活動を行ってきている。


しかし、難しいのは、閣僚の失言や一部の過激な保守派の発言が韓国に伝わるたびに、韓国側が日本には何の慚愧もないと受けとめ、それが事態をややこしくしてきた部分と、韓国側の極度なナショナリストが日本側がいかに道義的な責任からの償いの姿勢を示し、元慰安婦の方がそれを受けいれようとしても、ことごとく邪魔しようとしてきた経緯があるのだろう。


本当に複雑な問題で、一概には言えないし、おそらくそれだけでは解決というわけにはいかないのかもしれないが、アジア女性基金について韓国にもう一度理解を求めることは、それはそれで大いに意味のあることだと思う。


あと、もう一つ韓国側が理解すべきことは、朝鮮王室儀軌等の返還要求に応じるなどしてきた民主党政権を、あまりにも叩きのめしたとして、次に現れる自民党中心の政権は、韓国にとってはるかに強硬策を出してくるということである。


民主党政権に対してあまりにも強気な態度をとったツケは、かえって日本の妥協を引き出さず、韓国にとって結果として思わしくない事態を招くだけだろう。


何よりも、慰安婦問題と竹島問題は全く別問題なのに、両者を感情的に結び付けて竹島問題について一方的な主張を繰り返す韓国に対して、日本側はうんざりしている。
両問題をきちんと区別し、竹島問題においては国際司法裁判所で決着をつけるようにしなければ、韓国は日本にとってまともなパートナーとは今後みなされなくなることを自覚すべきだ。


とはいえ、もつれた糸をひとつひとつ解きほぐすのは、極めて至難のわざである。
日本側も、繰り返し法的問題と道義的問題について今までの積み重ねを冷静に説明し、かつ道義的問題に関しては、今までの経緯をきちんとわかってもらったうえで、国家というより各個人が、日韓の友好や相互理解のためにできる限りのコミュニケーションをとっていくことが大事なのだろう。


我々にはごく当たり前のことなのに、ひょっとしたらなかなか韓国側が理解できていないことは、今後の日本は二度と韓国に侵略することはないし、韓国への適切な敬意と理解を持っているということなのかもしれない。
この十年ぐらいで、だいぶ日韓の距離は縮まってきたとは思うけれど、引き続き、各個人レベルでの、相互の文化への理解や尊重や愛好が、何よりも一番大切なことかもしれない。


韓国の過剰な反日感情は、たしかに日本人にとってはうんざりする場合が多いものだが、その根底にあるのは、かつて人間として尊重されなかったことへの深い心の傷があるのだろう。


もつれた糸をひとつひとつ解きほぐすことの努力は、今後も引き続き大切なことだが、その努力をしたひとつの貴重な先例として、アジア女性基金の試みと活躍を知っておくことは、韓国側にとっても、そして何よりも日本人自身にも大切なことなのかもしれない。