国分康孝 「自己発見の心理学」を読んで

〈自己発見〉の心理学 (講談社現代新書)

〈自己発見〉の心理学 (講談社現代新書)


この本、今をさること十数年前、高校や大学の頃に読んでけっこうためになった。


で、ずっと忘れていて、ふと本棚から引っ張り出して読んでみたら、とてもためになった。


この本が言っているのは、要するに、人生には「哲学」が大事だということ。


つまり、自分が持っている「ビリーフ」(信条)を自覚して、それが本当に妥当か、論理的か、事実に基づいているか、きちんと検討して、適切に訂正しながら生きていくということだ。


人間は、意外と不合理な信条、つまり「イラショナル・ビリーフ」を抱えていて、それによって自分で苦しんでいる場合が多い。


かくいう私自身も、十数年前にこの本を読んだ時も、多くのイラショナル・ビリーフを抱えて苦しんでてだいぶ自分で考え直したつもりだったが、今も多くのイラショナル・ビリーフを別の形で抱えていることに気付いて驚く。


結局、自分を救えるのは自分だけ。
自分で、自分の考えや論理をよく見つめ直し、検討し直してこそ、自分の人生を改善でき、救うことができるのだろう。


あと、読み直してちょっと驚いたのは、


「なおそうとするな、わかろうとせよ」


という言葉がこの本に明記されていたこと。


この言葉、この本で読んだはずだったのにさっぱり忘れていて、大学院に入ってすぐの頃、宮台真司の本にこれと全く同じ言葉が書いてあって、とても感銘を受けて、宮台さんは良いこと言うなぁと感心したことがあった。


この著者の方は、この言葉は友田不二男と高木四郎という二人の先生から教わったと書いてあった。
宮台さんが言うずっと前から、たぶんカウンセリングではよく言われることだったのだろう。


あらためて、ためになる一冊だった。