若松英輔 「内村鑑三を読む」

内村鑑三をよむ (岩波ブックレット)

内村鑑三をよむ (岩波ブックレット)


とても良い本だった。


特に、


何をなすか、ではなく、何を受け継ごうかと考え、世界を見る時、私たちははじめて自身に準備されている「遺物」の豊かさに気が付く。
生きるとは、自己の願望を成就することではなく、先人の生に、いかに受け継ぐべきものを見出すかということにある。


というメッセージは、なるほどーっと思った。
本当にそのとおりと思う。


また、内村鑑三が読み継がれ、多くの人の心を揺すぶってきたのは、「本当に感じ、生きたことを言葉にする」人だったから、というのは、全くその通りと思った。


真実の意味で読むとは、それを書いた人に出会うこと。
読むとは、自らもその世界で生きること。


内村はそのように聖書を読んだし、また我々も内村の本においてそのようであることができるし、ありたいというのは、とても共感させられた。


あらためて内村鑑三の魅力に気付かされる、とても良い一冊だったと思う。