現代語私訳 善導大師『阿弥陀如来を観想する教えの入口』(観念法門) 第十二節 第十三節

現代語私訳 善導大師『阿弥陀如来を観想する教えの入口』(観念法門) 第十二節 第十三節


 


「五つの縁の功徳について」


第十二節

この章では、経典に依拠して、五つの念仏によって得られる縁(五種増上縁)の意味を明らかにします。
一、 無量寿経によります。
二、 観無量寿経によります。
三、 阿弥陀経によります。
四、 般舟三昧経によります。
五、 十往生経によります。
六、 浄土三昧経によります。



「大意」


第十三節


慎んで釈迦如来のみ教え、(第十二節で述べた)六つの往生のための経典などによって、阿弥陀如来の名号を称えて浄土に往生したいと願うものは、現在の人生において長寿を得、九横の難(医療の誤り、刑罰、不摂生、火事、溺れる、悪獣、転落、毒薬や呪詛、飢餓、の九つによる死)に遭うことがないことを明らかにします。
それぞれの詳しいことは以下の節の五つの縁の意味の説明にあるとおりです。


質問します。阿弥陀如来は、あらゆる生きとし生けるものに、信心を発起して西方の阿弥陀如来の浄土に往生したいと願いなさいと勧めておられます。また、阿弥陀如来の御像を造り、讃嘆し礼拝し、お香やお花をお供えし、日夜に観想して中断することがないようにしなさいと勧めておられます。
また、専ら阿弥陀如来の名号を念仏しなさいと勧めておられます。一万、二万、三万、五万、乃至十万回念仏する者もいます。あるいは阿弥陀経を読誦しなさいと勧めておられます。十五、二十、三十、五十、乃至百回を読誦して、十万回を達成する人もいます。
この現在生きている間においてどんな功徳を得るのでしょうか。この百年足らずの人生が終わった後には、どんな利益があるのでしょうか。浄土に往生できるのでしょうか、そうではないのでしょうか。


答えます。
この現在の人生、およびこの人生が終わった後において、間違いなく大いなる功徳と利益があります。み仏の教えに依拠して、五つの種類の利益が増し加わる因縁を明らかにしましょう。
一、 罪を滅する縁(滅罪増上縁)
二、 いつも阿弥陀如来や諸仏諸菩薩に護られ長生きする縁(護念得長命増上縁)
三、 阿弥陀如来を見る、阿弥陀如来に出遇う縁(見仏増上縁)
四、 阿弥陀如来に摂取されて浄土に往生させていただく縁(摂生増上縁)
五、 阿弥陀如来の御本願によって間違いなく往生させていただくと知り、さまざまな仏たちがそのことを証明しておられると知っていく縁(証生増上縁)
の五つです。