- 作者: 内田樹/釈徹宗
- 出版社/メーカー: 本願寺出版社
- 発売日: 2005/03/23
- メディア: 新書
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なかなか面白かった。
特に、「豊かな原因を求める心と貧しい原因で満足する心」、
つまり、なんらかの問題があった時になるべく多くの複雑な原因を考えることのできる知性と、単純な原因をひとつ措定してそれで満足する心では、精神の深みが全然違う、
という話は、全くそのとおりととても共感させられた。
世の中に多くある宗教の深さや浅さも、結局ここに大きなポイントがあるかもしれない。
個人個人もまたしかり。
あと、
「気分よく死ぬためには、私は今何をすべきか?」
と日々考えて生きている人は、穏やかな良い人であるはず、というのは、本当にそのとおりと思った。
日本人の大半は、制度化された宗教を嫌がるが、制度宗教が無意識化したいわば「市民宗教」はとても根付いている、というのも、そのとおりと思う。
なかなか良い本だった。
ただ、若干、すこしだけ疑問なのは、必ずしも浄土真宗は関係なく、どちらかといえば仏教全般と哲学の対話、あるいは今日の日本仏教について論じられている気がする。
もっとも、これは二冊ある本のいわば上巻にあたる部分なので、これだけで判断すべきではないのかもしれない。
ただ、上記のような素晴らしい内容に加えて、浄土真宗固有の意味や味わいもバーンとこめることができていたら、さらに良かったのではないかと思う。
後編の方にそれがあるのだろうか。
内田樹さんの問題提起やコメントがとても面白かったし、さらっと読めるので、良い本だと思う。