徳本上人 道詠

書類を整理していたら、昔コピーした徳本上人の道詠が出てきた。


徳本(とくほん)上人は江戸時代の念仏行者で、超人的な能力を発揮し、多くの人々を当時救ったと伝えられる伝説的な人物。
独特の名号を書いて、その碑文や書がところどころに伝わっているようで、私も一度、京都の崇泰院で真筆を見たことがあるけれど、本当にいのちの書と言えばいいのか、すごい字だった。


というわけで、ちょっとタイピングしてみた。
なかなかユーモラスで、しかし味わい深い道詠と思う。


徳本は 南無阿弥陀仏が 商いで 日々のもうけは仏なりけり


徳本に 年はいくつと お尋ねか 南無阿弥陀仏の無量歳なり


人ごとを 飴や甘露に 言うなれば 終にその身は 苦いへど吐く


念仏を 物憂きことに 思うなよ 死出の山路で 思い知らさん


なさけなや 露の命を 持ちながら 今日一日を 弥陀にはなるる


気短き ことを言うこそ 浅ましや やがて臨終の 用に至るぞ


阿弥陀仏を 只一筋に 真実に 唱える人は 子孫繁盛


南無阿弥陀仏 申していれば 賢いぞ 人も尊む その身の徳を


名を呼ぶは むつかしことは あらぬぞよ 身を思うなら たのめ仏を


(参考 山本一好 『徳本上人一代記』