- 作者: アーチャン・チャー,ジャック・コーンフィールド,ポール・ブレイター,星飛雄馬,花輪陽子,花輪俊行
- 出版社/メーカー: サンガ
- 発売日: 2011/01/25
- メディア: 単行本
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アーチャン・チャーの『手放す生き方』という本を読み終わった。
アーチャン・チャーは、今から19年前に亡くなられた、タイを代表する高僧。
世界中からタイの森の奥にアーチャン・チャーを慕って瞑想指導を受けに来る人が集まったらしい。
阿羅漢果に達していると言われていたそうだが、さもありなんと思わされるすごい本だった。
youtubeで見れる生前の動画を見ても、本当に優しそうな、ユーモラスな御人柄がうかがえる御姿だけど、この本でも、本当に舌を巻く目からウロコな智慧の言葉を、本当にわかりやすくユーモアを交えながら自然に語っている。
特に、私が目からウロコだったのは、以下の二つの言葉。
「苦しみには二種類のものがある。一つ目は、より多くの苦しみをもたらす苦しみじゃ。そして、二つ目のものは、苦しみを終らせるための苦しみじゃ。もし、おまえさんが二番目の苦しみに自ら直面しようとしないのなら、一番目の苦しみをずっと経験し続けることになるじゃろう」
(同書 59頁)
「人間は皆、生まれ、老い、死ぬという意味においては、同じ家族に属しているようなもんじゃ。このことを理解すると、人々の間の差異というものは重要ではなくなる。」
(同書 208頁)
この二つの言葉は、私にとっては、本当に目からウロコが落ちる、すごい言葉だった。
他にも、法話は「ダルマ自身に話させること」ということや、「本当の魔法は(人を解脱に導く)ダルマのみ」、「執着を手放す「手放すこと」以外できることはない」、「ただダルマとともに生きる」、「もうこれ以上生れてくる必要をなくすために生れてくる」、などなどの内容の言葉に、本当になるほどーっと思った。
この本は、いたるところに智慧と気づきが湛えられていて、またしばらく経ってから読み直すたびに、以前は気付かなかったことにあらためて気づくことができる本のように思う。
そして、この本が繰り返し述べているとおり、一番大切なことは本を読むことではなくて、自分自身の心を観察し、気付き、生きていくことなのだろう。
翻訳もとてもわかりやすく、読みやすかった。
タイ仏教は、日本人にとって今までそれほど多くは紹介されていないし、なじみがうすいことが多いと思う。
しかし、真実の仏教がどれほどすばらしいものか、わかりやすいものか、これほど教えられる本は多くはないと思う。
多くの人に手にとって読んで欲しい素晴らしい一冊と思う。
アーチャン・チャー wikipedia (英文)
http://en.wikipedia.org/wiki/Ajahn_Chah