- 作者: 森川友義
- 出版社/メーカー: ディスカヴァー・トゥエンティワン
- 発売日: 2009/07/07
- メディア: 新書
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著者が言うには、今の若者(20代〜30代半ば)は、政治リテラシーが低く、投票率も低い。
そのために、のちにその世代が一番ツケを払わされる財政赤字を上の世代が勝手に増やし続けているのを黙認し、結果としてとても損をしている、ということである。
そのための対策として、著者は、まず投票することと、そして政治リテラシー(政治に対する判断力や読み解く力)を磨き高めることを主張している。
そして、政治リテラシーのために、
今の日本の政治が、
一、有権者
二、政治家
三、特別利益団体
四、官僚
の四つのアクターから構成されていること、
さらに、
①世界における日本経済
②日本国の防衛問題
③財政赤字問題
④食料依存
⑤エネルギー問題
⑥少子化問題
という六つの点に関し、問題点をわかりやすく述べながら、上記四つのアクターがいかなる関係にあるかを簡単明瞭に説いている。
①世界における日本経済、に関して、「20世紀型成長モデル」、つまり、
・安価な天然資源
・安い労働力と高い技術
・国内外の市場
の三つが、BRICSの需要が増大したために天然資源が高くなり、すでに日本の賃金が高くなった上に教育行政の失敗で相対的に日本の学力・技術が低下しつつあること、国内外の市場で需要が減少しモノが売れなくなっていること、を指摘しているのは、妥当な認識と思えた。
また、②日本国の防衛問題のについて、仮に日米同盟を当面続けるとしても、いくらなんでも首都である東京都に八つも米軍基地があることと、三沢にエシュロンという一大スパイ装置があってなんでも日本の情報がアメリカに筒抜けであることは問題だろうと指摘していることも、いたって妥当と思う。
⑥の少子化問題について、非婚化が進んでいることが一番の問題というのも、ある意味そうかもしれない。
ただ、食糧・エネルギーについて、あまりにも安易に自給率上昇を主張しているように思えることには、ちょっと私自身は疑問があった。
ただし、地熱発電に政治主導で先行投資をすべきだということと、定額給付金で二兆円も使うよりは同じ金を地熱発電等のエネルギー開発に注ぐべきだというのは、まったく同感である。
さらっと読めるので、特に若者が、ぱらぱらっと読んでみるのはいいかもしれない一冊だと思う。
若い世代の政治リテラシーの有無は、結局それらの若い世代の人たち自身の人生の質に、つまり将来の日本の質に、大きな影響を与えることは、著者が指摘する通りで、本当にこれから最も重要な課題と思う。