- 作者: 深見じゅん
- 出版社/メーカー: 集英社
- 発売日: 2007/08/10
- メディア: 文庫
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漫画「ぽっかぽか」は本当に名作で、どの巻も本当にすばらしいのだけれど、昨日、10巻を読んでいたら、本当に胸を打たれる箇所があった。
主人公のまだ小さな女の子が、病院の中で迷って、死期の近い末期医療を受けているあるおばあさんの個室にたまたま入ってしまう。
おばあさんは、その子から「病気なの?」と尋ねられ、「アタシかい?そうだよ、もうすぐ死ぬんだよ」と答える。
すると、その子が「死んだらどうなるの?」と尋ねるので、子どもってとんでもない質問をするね、と言いつつ、
「アタシはまだ死んだ事がないから、ホントのところは分かんないけど、
アタシの母さんはこう言っていた。
死んだらまず川を渡る。
一面のお花畑。
明るくていい匂いがして、
風が気持ちい。
大きくて優しい人が
『よく来たね』と抱きしめてくれる。
『よく生きたね』と頭をなでてくれる」
と話す。(73〜74頁)
すると、主人公の女の子は「うわぁぁ」と目を輝かせて聴く。
そこに、その子の母親(主人公)が来て、女の子を連れて行くのだけれど、そのおばあさんはそれから小さい時のことを思い出す。
(おばあさんの名前がエイコ)
「そうだよエイコ。
人はそうやって死ぬんだ。
でもね、死ぬ前にやっとく大切な事があるのさ。
許して
そして
許される。
自分が受けた嫌なこと
嫌な人を
ぜーんぶ許して
自分がやった
悪い事を
あやまる。
そうして
さっぱり
きっぱり
死んでいくんだよ。」
(77頁)
そのおばあさんは、病院で具合が悪いために機嫌が悪く、自分の娘や嫁に当り散らしていたのだけれど、小さい頃自分の母親から聞いたその言葉を思い出して、娘や嫁に謝り、そして死んでいく。
なんとも、胸を打たれて、思わず涙の出る話だった。
「許し許され、さっぱりきっぱり死んでいく」
往生というのは、要するにそういうことであり、浄土宗や浄土真宗というのは、本来ただひとつこのことを教えるものだったのではないかともふと思った。
なっかなか、まだ私は十分にはそれができずにいるけれど、さっぱりきっぱり死んでいけるように生きていこう。