- 作者: みんなの党,渡辺喜美
- 出版社/メーカー: 実業之日本社
- 発売日: 2010/06/17
- メディア: 単行本
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「みんなの党」について、みんなの党のサイドから書かれている本。
みんなの党についてはいろんな批判もあるのかもしれないけれど、私はこの本を読む限り、共感する部分もあったし、何よりも夢やビジョンをこれほど語れる政党というのは、自民党や民主党が総花的なマニフェストなのを考えれば、その点は評価してもいいのではないかと思えた。
今の日本にはめずらしい、真っ向から夢やビジョンを語る人たちであり集団なのだろうとは思う。
・小さい政府、大きなサービス
・年率4%の経済成長の実現と、それによる税収の増加による財政・社会保障の問題の解決
・事業仕分けよりも「資産仕分け」。国の保有資産や特別会計にメスを入れる。国の金融資産の圧縮と天下りネットワークの根絶。
・公務員の給与削減や職域加算による年金の違法加算の是正。
・アジアワイドの規制緩和や市場の取り込み。
・同一労働同一賃金。正規と非正規雇用の流動性確保。
などなどは、たしかにそれが実現すれば素晴らしいだろうなあと思った。
という三本柱も、おおまかな方向としては今現在国民の多くが望んでいる方向を的確にとらえていると思う。
渡辺喜美さんは「魂の入った政党体制」をめざしてみんなの党をつくったそうで、この本の中で「ぶれないアジェンダ」を持つ、アジェンダが明確な唯一の政党と自ら述べているが、たしかに現時点ではそう言える部分もあるかもしれない。
ただ、読んでいて気になったのは、もろもろの政策で、あまりにも竹中平蔵さんが言っている政策と同じものが多かったことである。
偶然にしては一致が多すぎる。
べつに竹中さんも良い政策を言っている部分もあるので、隠さずに堂々と影響を受けていたり指南を受けていることを言っていれば、それはそれでいいと思うのだが、この本にしろ他の本にしろ、みんなの党の背後に竹中さんやチームポリシーウォッチがいるということは、どこにも書かれていない。
でも、おそらく、みんなの党の背後には竹中さんやチームポリシーウォッチがいる、あるいは相当にその政策や理念の影響を受けていると考えた方が良いだろう。
みんなの党と小泉改革との違いはセーフティネットを重視することだと、この本の中でしばしば繰り返されているが、セーフティネットの中身は分権を進めた地方自治体に委ねるというぐらいしか、あんまり具体的な中身はよくわからない気がする。
掲げている中には良い政策も多いと思うし、みんなの党には日本を良くするために大いにがんばって欲しいと思うが、国民の不安感を払拭する社会保障政策の具体的な中身の充実にさらに努力して提示してくれると、さらに国民の支持も増えるし、それらが根の付いたものになるのではないかと、読んでてちょっと思えた。