相良俊輔 「菊と龍」

菊と龍―祖国への栄光の戦い (光人社名作戦記)

菊と龍―祖国への栄光の戦い (光人社名作戦記)


菊兵団と龍兵団の、ビルマ北部や雲南での死闘を描いた本。

恥ずかしながら私はこの本を読むまで菊兵団と龍兵団についてはよく知らなかったので、本当に勉強になったし、胸打たれた。

田中新一、水上源蔵、金光恵次郎、太田正人などの将官をはじめ、一兵卒にいたるまで、菊と龍には、本当に、手本とすべき立派な気概の持ち主が多くいたのだと思う。

この本の冒頭に掲げられた一文が、読み終わったあとにもう一度読むと、本当に胸打たれる。


「もし玉砕して、そのことによって
祖国のひとたちが、すこしでも
生を楽しむことができれば
祖国の国威が、すこしでも強く
輝くことができればと
せつに祈るのみである
遠い祖国の若き男よ
強く逞しく、朗かであれ
なつかしい遠い祖国の
若き乙女たちよ
清く美しく、健康であれ


 ―玉砕せる一兵士の遺書より― 」


後世のものは、今の日本というものが、かつての日本人の、大きな大きな思いと願いと愛の上にあるということを、決して忘れてはならないのだろう。

いつか、拉孟や騰越やミートキーナを訪れて、古戦場を眺めて、念仏を称えることができたらと思う。

菊と龍の、気概というものを、後世の日本人も、いくばくなりと倣おうと心がけるべきかもしれないと、読んでて本当に感慨深かった。
良い一冊だった。