梅棹忠夫 「エスペラント体験」

エスペラント体験 (モバード新書 (12))

エスペラント体験 (モバード新書 (12))

面白かった。

うーん、もっと早くに読めばよかった。
エスペラントについて、とても面白い視角や知見がいっぱい盛り込まれていると思う。

エスペラント語は、英語などの言語帝国主義大国主義との闘いであること、

エスペラント語は、地球運命共同体の言語、未来の文明語、
未来を先取りした言語であり、

エスペラント語を使う人は、現在の国籍と未来のエスペラントとの二重国籍とも言えること、

などなど、かなり面白い発想や主張が述べられていた。

エスペラントは言語的少数民族(日本も含めて)の救済であり、また人類全体の精神運動であるというのは、なるほどーっと思った。

著者が言うとおり、人類の「バベルの塔的状態」(正確にはバベルの塔の後の状態)の克服には、たしかにエスペラントしか本当はないのかもしれない。

著者が末尾で述べているように、そのためには、人類の理想に向って、何か少しずつ、一歩ずつでも、エスペラントを、そしてエスペラントで、やってゆくしかないのかもなぁ。

なかなか啓発的な、面白い一冊だった。


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